ハレゾラ
「お前が精神的に弱ってる時に言うのは卑怯だけど、これって一つのチャンス
だと思ってな」
顔を少しだけ赤く染めている坂牧が、一瞬可愛く見えてしまった。
さ、坂牧チーフが可愛いっ!?
きっと思った以上に弱ってるんだ、私……。じゃなきゃ坂牧が可愛いなんて思う
はずがない。言い訳がましく自分にそう言い聞かせる。
「わ……私、まだ彼と別れたわけじゃないし。こういう場合、どうしたら……」
訳がわからなくなり、しどろもどろしながら立っていたら、いきなり坂牧が抱き
ついてきた。
「ちょっ、ちょっとっ。何もしないって言ったじゃないっ!!」
「あいつがお前を大切にしないなら、俺が大切にしてやる」
あいつ? 彼のことを言っているのだろうか?
私が誰と付き合ってるのか知らないはずのに、“あいつ”呼ばわりするなんて、
何を言ってるんだろう?
って、今はそんなことを考えているときじゃないっ!!
「チーフッ! 離れてーーーっ!!」
あるったけの力を出して、坂牧を押し退けようとした。