ハレゾラ

「花田、俺、お前のことが好きなんだよ」


「へぇっ!?」


いきなり突拍子もないこと言うから、変な声が出てしまった。
私のことが好き?聞き間違いじゃないよね?
いやいや……。有り得ない有り得ない。
坂牧は私の2歳年上。入社当時から仕事のノウハウを教えてもらった信頼できる
上司だ。がっちりした体格で豪快な感じだが、その反面、優しく思いやりも持ち
合わせている。
でも私は一度だって、恋愛対象に見たことはなかった。 
坂牧だって同じだ。今まで一度たりともそんな素振り私に見せたことない。
なんで急にそんなことを言うのか分からず一人混乱していると、坂牧が近寄って
くる気配がした。
とっさに両手をぐっと伸ばし坂牧の胸にあて、それを阻止する。


「な、何しようとしてるのっ!」


もう敬語など使ってる場合じゃなかった。
とにかくこの危機的状況を何とかしなければ……。


「何にもしないから落ち着け。驚かせて悪かったな」


いつもの威勢のいい坂牧からは、想像もつかないような優しい声だった。
それ以上近寄ってこないのが分かり、強張っていた手を緩める。 
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