ハレゾラ

「僕だって追いかけて行きたかったし、いつだって咲さんを抱きしめたいって
 思ってる」


「じゃあなんで……ぶわぁっ!?」


いきなり私の顔を、彼の両手がぎゅっと挟み込んだ。


「いふぁい……。にゃあにふぅんの?」


「変な顔で面白い。でもすっごく可愛いし、どんな咲さんだって、咲さんだから
 大好きなんだ。分かる?」


う~ん……。何かいまいち分からないけど、この状態が照れくさくなってきて、
うんうんと何回も頷いた。
すると一度手を離し、今度は私の肩を抱き寄せた。


「追いかけなかった件なんかについては、今晩ゆっくりと……ねっ?」


ねっ? って……。その不敵な笑みが怖いんですけど。
それに今、今晩ゆっくりって言った?


「翔平くん? 今晩ゆっくりって何?」


「今晩は今晩。だって、ずっと一人で寂しかったからさぁ。二人でゆっくり温ま
 ろうよ」


私の顔が一気に沸騰したように真っ赤になったのはいつものことで。
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