ハレゾラ
寂しくて、逢いたくて…

風の冷たさが、季節を秋から冬へと変化させているのを教えてくれる。
11月に入り、私の職場は一年で一番忙しい時期を迎えようとしていた。
お歳暮商戦にクリスマス、大晦日にお正月……。立て続けにイベントが襲ってく
る。
そんな時の私に、勤務表やシフト表なんて、あってないようなもの。
とくにチーフという役職を頂戴してからは、休みなど皆無に近い状態だ。
街は煌くクリスマスツリーや瞬くイルミネーションで飾られていくのに、私の心
は、憂鬱な気持ちが増していくばかりだった。

大手電機メーカーに勤務している彼は営業をしていて、やはり年末年始は忙しく
なるそうだ。
折角、坂牧チーフ(ここはお兄さんと呼ぶべきなのか?)のお陰で、以前のよう
な関係の二人に戻れたというのに……。お互いの休みの日はもちろんのこと、毎
日の仕事の時間すらズレてしまい、ほとんど会えなくなっていた。

私は一人、休憩室でコーヒーを飲みながら外の光景を眺め、溜息をつく。
店の前を行き交う人々……。みんな、ウキウキしていて幸せそうだった。
それに比べて私ときたら……。
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