ハレゾラ

公園につき、一人ベンチに座って大きく伸びをする。
顔を上に向けると、空はまだ綺麗に澄み渡っていた。


「本当にいい天気」


あまりの気持ちよさに、つい独り言が溢れてしまう。
一年で一番寒い時期なのに、全く寒さを感じない。
彼がもうすぐ来ると思うだけで、こうやって待っている時間さえも楽しくなって
しまうなんて……。
伸ばしていた腕を下ろそうとした時、公園の脇にある時計に気づいた。
ちょうど待ち合わせ時間を指している。と言うことは……。

また遅刻だよ……。
 
昨晩は残業で、帰りが遅くなったとは聞いていた。だけど今日は久しぶりのデー
トだよ? こんな日くらい、ちゃんと来て欲しかったのになぁ。
そんなことを思いながら、カバンの中をゴソゴソと探り、携帯を取り出す。
彼が来るまでの間、時間つぶしのために何かしようと思っていたら、背後から声
をかけられた。


「おいっ。こんな所で何してるんだ?」


びっくりして後ろを振り向くと、坂牧が立っていた。
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