ハレゾラ

『どうするの?って、恵介は会いたくないの?』


久しぶりだから、きっと照れてるんだ。恵介、可愛い。
なんてひとりでニヤニヤしてたら、すぐに返事が来た。

 
『会いたくないのはそっちだろ! 咲には僕は必要ないんだよ。君は強い女性だからね、ひとりでも生きていけるだろう?』


は、はい? 私が強い女性だって言うの?


『言ってる意味が、全然わからないんだけど?』


ちょっと、この展開ってまさか……。


『別れてくれないか? 守ってあげたい子が他にできたんだ』


……やっぱり。
もう五年も付き合ってきて、恵介は私のことわかってくれてるって思ってたのに。


そうじゃなかったんだ。
私は今でも恵介が好きだし、別れたくないのが本心。
だけど私の、三十を過ぎてる女のプライドがそれを許さなかった。
< 3 / 237 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop