ハレゾラ

「それ、キス誘ってる?」


目を閉じたまま薄っすら笑い「さぁ?」と小首を傾げたみた。
彼もちょっと笑った気がする。
もうすぐ彼の唇が触れる……と思ったその時。


「お待たせしました~」


女将さんの威勢のいい声が部屋に響き渡った。

その後しばらくの間、顔を真っ赤にしていたのは、言わずと知れたこと。
彼はいつもの調子に戻っているし……。この、千両役者小悪魔!

そんな二人の様子を見て、ふふっと笑いながら食事の用意を整えてくれている
女将さん。

私はいつになったら、女将さんみたいに素敵な女性になれるのかしら……。
30過ぎてるのに、まだまだ子供みたいだ。
 
< 94 / 237 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop