Sugar × Spice Ⅱ〜恋人は年下幼馴染〜


「うーん…わかんない」

「えっ?」


その言葉に拍子抜けする。



「わかんないって、そんなことないでしょ!

幼なじみと恋人じゃ全然違うよ?」


「だって気付いたら、いつもそばに優ちゃんがいたから…

だからこれからもずっと、一緒に居れたらなぁって思ったからかなぁ」


お姉ちゃんは首をかしげながら答えた。


「でも、“一緒にいる”なら幼なじみでもいいじゃない。

どうして恋人になる必要があるの?

むしろ幼なじみなら、ずっと変わらず幼なじみのままでいられる。

恋人だと、いつか別れがくるかもしれないんだよ?」



そう言って、私は初めて気付いた。


…そっか。


私はきっと怖いんだ。


涼と“幼なじみ以上”の関係になるということは、


二度と“幼なじみ”には戻れないということなんじゃないかって…


そう思ったら怖くて、寂しいんだ。



「あのね、咲」



お姉ちゃんがそっと私を呼ぶ。



「…私も優ちゃんに好きだって言われるまでは、優ちゃんのことそんな風に考えたことなかったの」


「えっ、そうなの?」


意外だった。


てっきりお姉ちゃんもずっと、優兄ちゃんのことが好きだったんだと思ってたから。





「優ちゃんに好きだって言われて初めて、

優ちゃんが私を必要としてくれることを知った。

それまでは私が優ちゃんを必要として、優ちゃんに与えてもらってばかりだった。


…それが突然、私も与えたいと思うようになったの。


優ちゃんが今まで私にしてくれたように、


私も優ちゃんに与えたい、支えになりたい、



…この人を守りたいってね」



お姉ちゃんの言葉に、心臓が大きく鳴った。




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