Black Coffee.
以前より一本遅い電車に乗るのが
すっかり習慣になっていた。
胃もたれを抑える薬を買って
それと一緒に水も買って、
重い足取りで少し混んだ電車に乗った。
なんとか座れたものの、
胃もたれは相変わらずで
吐き気を抑えながら鞄から
買ったばかりの薬を取り出した。
─────────────ガタンッ
「 ・・・・・あっ 」
それなりに混んだ車内に
箱ごと薬を落としてしまった。
なるべく下を向きたくなくて
足元へ落ちた箱を探していた。
「 ・・・大丈夫ですか? 」
大好きな、大好きな声。
「 もしかして、気分悪いですか?
・・・・・菜緒さん? 」