Black Coffee.
「 未練たらたらだもん、菜緒ちゃん 」
「 ・・・・そんなこと言ったって・・ 」
気持ちがそんなにすぐに
消えるわけがないでしょう?
眉を寄せて紗希を見れば
”そうだよね”と苦笑されて、
「 菜緒ちゃんの努力は認めるよ。
だけど、”会わない”のは
努力じゃなくて、逃げだよ 」
忘れるための努力は簡単なようで
あたしにはとても難しい。
覚えたばかりの英単語や漢字のように
あっさり忘れることなんてできなくて、
チクリ、と痛んだ胸を押えると
”じゃあ、また後でね”と紗希は
背中を向けた。