世界で一番大切なもの
「集会ってー、誰か何かやらかしたの?」



「ううん…橘桔平が帰ってきたから…」



「橘桔平?誰それ?」



不思議そうな顔で首を傾げる伊東くん。



ああ、そうか。



伊東くん、去年転校してきたから知らないんだ。



「有名な華道家だよ。その人がヨーロッパ留学から帰ってきたの」



「ふーん、」



聞いといて、興味のなさそうな返事が返ってくる。



桔平を知らない人に会ったのなんか、初めてかも。



なんか新鮮な感じ。



ふふっ、と笑うと、伊東くんが眉にシワを寄せてあたしを見た。



「何ー?」



「あ、ごめん、何でもないの」



あたしは慌てて顔の前で手を振る。



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