社長の溺愛・番外編



とりあえず…



「翼、何も言わないで勝手に出かけるなんて悪い子だね」



まずは家出した仔猫を叱らなければいけない


しかし当人の翼はというとなぜ俺に叱られるのかわかっていない様子できょとんとしている



「……だって、家出したもん」

「じゃあ翼は家に帰ってこなくていいんだね」

「……違う…やだ…」

「家出ってそういうことなんだよ」

「やだ、……家出やめる」



腕の中で涙を浮かべ嫌だと首を振る翼はぎゅうっとしがみついてまるで小さな子のよう



「じゃあもう帰ろう、明日はせっかくの休みだ」



抱き上げたまま帰ろうと部屋の入り口に行こうとすると可愛い声に止められる



「だめ、……帰るの、だめ」



ふるふると長い髪を揺らしながら見つめる天使のような彼女の意思は固いらしくめずらしく強気な顔をしている



「なんで帰るのがだめなんだ?今日は泊まっていきたい?」

「……違う」

「じゃあどうして。言ってごらん」



掠めるようなキスを髪に落とすと瞳がきらきらと気持ちを表す



「チョコレート……!」




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