雫-シズク-
血涙。
「うーっ、寒い!寒いよ、葵さん!さーむーいーっ」


「うっせーな、そんなことくらい言われなくてもわかってるよ!ぎゃーぎゃー騒ぐと余計寒くなんだろ!」


季節は冬に変わって、晴れた空から吹き付ける凍てついた風が容赦なく肌を突き刺してくる。


俺と葵さんは分厚いジャンバーに両手を突っ込み、嫌になるくらいの向かい風に抵抗しながら学校へと歩いていた。


途中の薄暗い公園の前を歩くたび、もうすっかり良くなった左腕と亮くんのことを思い出す。


あの事件からすでに一年以上が過ぎて、俺は中二、葵さんは高三になった。


気になる亮くんのことは話題自体が学園内では禁句のような雰囲気で、あれ以来桜井さんや他の指導員から詳しい話は一切ない状態。


そしていくら長い月日が経っても俺の心の奥底に残り続ける傷跡は、未だに完全に癒えることもなくじくじくとした痛みを放っている。


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