私の片想い事情 【完】

一人ずーんと暗くなっていると、見るに見かねた亜紀さんが、私の首ねっこをつかみ、「今日は飲むわよ。拒否権なし」とずるずると私を居酒屋まで引きずっていった。


耳元に息をふきかけられながら、先週あったことをこと細かく報告させられた私は、ウーロン茶一杯しか飲んでいないのに、ゆでだこ状態になっていた。


「で、みなみはどうしたいの?」


もう何杯目かわからない焼酎ロックを飲み干し、亜紀さんが聞いてくる。


「どうしたいって、それがわかったらこんなに悩んでいません」

「和君とつきあったらいいじゃない?」

「む、無理です!」

「どうして?」

「私が好きなのは隼人だし……」

「でも片想いじゃん?30過ぎてもそのまんまでいる気?」


うっ……


お酒が入っているせいか、亜紀さんはいつも以上に辛口だ。


「和君が普通に接してくれるのは、恋愛偏差値の低いみなみに考える時間をくれているからよ!決して焦らしたりしているわけじゃないわ」

「そうなんでしょうか?」


おずおずと亜紀さんを見上げれば、そうよ!とでこピンされた。


い、痛い……これは本気の説教モードだ。




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