私の片想い事情 【完】
夏のさんさんと照りつく太陽とは対称的に、私は負の方向へ沈みがちな気分と共に、アパートを出た。
ああ、容赦なく照りつける太陽がまぶしい。
薄いサンダル越しにも感じるアスファルトの熱。
真っ青な空は、エアコンが聞いた窓から眺めるからキレイなんだ、と最近気づいた。
一つ外に出てしまえば、その綺麗な青色すらも恨めしくなる。
まだ7月の頭だというのに、8月になったらどうなるんだ?と引きつり気味で影を探しながらのらりくらりと歩いた。
職場からバスで10分という素晴らしい立地条件のアパートを選んだというのに、今日は反対方向のスポーツショップへ寄らなければならない。
それはもちろん隼人のゴーグルを買うため。
私ってなんて健気、と片想いのヒロイン気取りでいるけれど、やっていることはホント進歩がない。
このバス停を利用してもう5年。
一人暮らしを始めたときは、毎日ドキドキしながら一人でバスに乗ったものだ。
このバス停までの道のりも、色んな事に夢や希望を膨らませて歩いていた。(殆どが隼人がらみの夢と希望だけど・・・)
でも、5年も経てば、バス停までのたった数分の距離がわずらわしく、車が欲しいと思ってしまう。
人間とは欲の生き物だ。
額から流れる汗を拭きながら、私はバス停のベンチに腰かけた。