私の片想い事情 【完】
五度目のチャイムで、亜紀さんはドアを開けてくれた。
不機嫌丸出しでドアを開けた亜紀さんは、私のズタボロの姿を目に留めると、瞬時に何があったのか察知したんだろう、バカ者と言って私の額にデコピンし、中へと入れてくれた。
一人暮らしの女性には広い1LDKのマンション。
私は、その広いリビングのフローリングで、崩れるように泣き出した。
寝起きでもその色っぽさと美しさを維持したままの亜紀さんは、嫌な顔ひとつせず、私をひと言も攻めることなく、ずっと話を聞いてくれた。
ティッシュ丸一箱分を使用した私は、少し落ち着き、亜紀さんに無理矢理シャワーを浴びさせられた。
もうくたくただったけど、リビングの床でいいから寝たかったけど、それは許してもらえず、ベッドを貸してあげるからそのみすぼらしい部屋着を脱いで汗と涙まみれの身体をキレイにしてきなさい、と怒られた。
そんなところは、相変わらず亜紀さんで、私は泣き笑いながらシャワーを浴びた。
鏡を見ると、ところどころに隼人が触れた痕が残っていて、目を背けても身体が隼人の指と唇を覚えていた。
思い出せば、ジュクっとまた中心が熱を持つ感覚に、自分の図太さと浅ましさに眩暈がした。
バスタオル一枚で脱衣所でぼんやりとしていたら、遅い、と亜紀さんがやってきて、そのバスタオルを剥かれ、私はとっても恥ずかしい姿を披露するはめになった。
派手にキスマークつけられたわね~と呑気なことを言いながら、新しい下着(何でヒモパン?)と、とてもセクシーキュートなナイティーを渡された。ちなみに、亜紀さんの家にはAカップブラなんてあるわけがないので、ナイティーの下はヒモパン一枚だ。
スカスカする~と文句を言う私を満足そうに眺め、やっぱり童顔には白フリルよね、と訳の分からない台詞を吐かれた。
そして、そのままベッドに押し込まれ、余りにも腫れてひどい瞼を不憫に思ったのか、亜紀さんがホテル仕様のようなふかふかのタオルでホットタオルを作ってくれたのだ。
「今は、何も考えないで寝なさい」
ずっと頭を撫でてくれる手が心地良くて、私はパンパンに腫れた瞼を閉じた。