私の片想い事情 【完】

プールへ行くと、幼児教室が終わったのか、しんと静まり返っていた。


隼人は一旦更衣室に戻ったのかな?


辺りを見渡しても隼人の姿が見えない。


気合を入れてここに来たのに、拍子抜け。


ふぅっと溜息をついた、その時、タンッと軽快な音が頭上から聞こた。


音の方向に視線を上げれば、隼人のしなやかな身体が宙で一回転していた。


スッと伸ばされたつま先が綺麗に弧を描き、弓のように跳ねる背中は、水飛沫を散らしながら光っている。


ピンと伸ばされた両腕が、一直線に水面に吸い込まれていく。


ああ、なんてきれいなんだろう。


しなやかで力強い。


私は、あっと言う間に隼人を飲み込んでしまった水面を茫然と眺めていた。


そうだよね。


この隼人のこの飛び込みを初めてみたときに、私はもう隼人の虜だった。


そして今も……


飛び込み専用プールからザバッと音がしたかと思うと隼人が上がってきた。




< 260 / 480 >

この作品をシェア

pagetop