私の片想い事情 【完】
「みなみ……」
急に表れた私に、目を見開いて驚いている隼人に、私は持っていたタオルを差し出した。
「久しぶりに隼人の飛び込み見ちゃった。すごいね、全然フォームがかわらない」
自然に出た言葉。
もっと別のことを考えていたのに、頭が真っ白になっちゃった。
隼人は何も答えず、濡れた髪の間から覗く切れ長の瞳が動揺に揺れている。
どことなしか疲れが見えるのは、気のせいじゃない。
隼人の家を飛び出した私をずっと探していてくれたんだよね?
心配してくれただけで十分だよ。
私は、やっぱり隼人が好きでたまらないんだ。
「もう、最悪!」
私は、隼人の頬を軽くペチンと叩いた。
隼人の身体がビクンと揺れる。
「あんな飛込みの見せられたら、隼人を諦められないじゃない。また惚れ直しちゃったよ」
「みなみ……」
「でも、大丈夫だから。もう私、フラフラしない。昨日は心配かけてごめんなさい。亜紀さんに隼人の愚痴を散々言ってすっきりしたわ」