私の片想い事情 【完】
「みなみにしたことも、みなみが言ったことも全て覚えている」
隼人は急に真面目な顔なり、私をじっと見つめる。
急に真面目になるものだから、私の戦意は一気に半減し、つい尻込みしながら隼人に尋ねる。
「じ、じゃあ、何で、何でこんな普通にできるのよ?こんな風にご飯に行くのもおかしいでしょう?」
「だって、みなみが言ったんじゃん?」
ああ、そんなこと、と頷きながら隼人が笑う。
「私が何よ?」
「俺がまだ好きって。諦められないって。だったら離れる必要ないじゃん?」
そう思うだろ?と悪びれもなく笑う隼人に、私は開いた口が塞がらない。
「あんなことがあっても俺が好きなんだろう?」
「言ったけど……でも……」
「みなみに世話をやいて欲しいなんて思ってない」
隼人がゆっくり私に近づく。とても綺麗な微笑をたたえて。
そして、私はつい衝動的に後ずさる。
「いや、みなみに世話をやかれるのは好きだけど、みなみが嫌なら別にいい」
「は、隼人、私が言いたかったことはそんなことじゃ……」
「みなみが俺以外の男を好きになるなんて無理な話だよな?」
どこか勘違いをしているんじゃないだろうか、と反論する私に、隼人は、とても自分勝手な言葉をかぶせてくる。