私の片想い事情 【完】

女王様、私はあなたの玩具じゃないんですけど?そう懇願しても亜紀さんのお化粧ごっこは終わらず、結局私は、眉毛を整えられたり、まつ毛をビューラーでカールされたりとお人形状態だった。


何の為に2時間早く出勤してきているのかわからない。


30分後、鏡を渡されてびっくりオドロキ。


プールに入るからお化粧できないけど、髪と眉毛を整え、まつ毛をカールさせるだけで全然印象が違う。


ヌルヌルの唇が気持ち悪いけど、赤くぷっくらとしたそれは、自分の唇じゃないみたいにキラキラ輝いていた。


目をしばたたかせて驚いていると、目の前に最初につけてくれたグロスが置かれた。


某有名化粧品プランドのそのグロスは、夏に発売されたばかりのもの。


「瑞々しく潤う涼しげな口元」がキャッチフレーズのそのグロスは、つけてみると、みずみずしいというより、やっぱり蜂蜜をべっとり塗っている感じだけど、自分でもこの色似合うかも、と納得してしまった。


すると私の思考を読んだように、亜紀さんは、みなみに似合うからあげる、とグロスを手渡した。


「あ、亜紀さん、いいです!悪いです!私つけないし」

「悪いと思うなら、つけなさい!いやよ、他人がつけたものなんて今更」


なら、つけなきゃいいじゃないですかー!という私の反論は無視し、亜紀さんは、私のかばんの中にそのグロスをほおりこんだ。




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