私の片想い事情 【完】
今日の彰人君は、弟というより、犬みたいだな。
隼人も犬みたいなところがあるけど、本当に兄弟って姿形だけでなく、行動も似てくるのね。
この素直で可愛い彰人君が、あんな傍若無人な女にだらしない男になるかと思うとぞっとして、私はその考えを一蹴した。
「彰人君は、このままでいてね?」
「―――へ?」
いきなりそんなことを言われた彰人君は、きょとんとしている。
「ううん。こっちのこと。彰人君、ほんといい男になったから、このままいい男でいて欲しいなーって」
「じゃあ、兄貴から俺にする?」
視線だけこちらに寄越すその仕草が隼人のそれとシンクロして、胸がトクンと鳴る。
うっわー、こんなに似ているなんて…
これは、女を泣かせるな、そう思っていると、彰人君がぶすっとふくれた顔をする。
「みなみちゃん、今、俺と兄貴重ねてたでしょ?」
「え?え?そ、そんなことない、よ……」
「別にいいけどねー」
「あ、彰人君、違うの。ただ、余りにも仕草とか隼人とそっくりだから……」
「げーーーっ!最悪。俺、絶対に兄貴みたく節操なしにならないからね?」
うん、それは賢明な考えだわ。是非その意思を貫徹してください。そう言うと、彰人君は噴き出すように笑った。
みなみちゃん、苦労してんもねー、と大笑いする彰人君は、何気に失礼だ。