私の片想い事情 【完】

なぁ、みなみ―――


俺はね、お前が思っている以上にお前が必要なんだよ。


そこんところ、分かっている?


好きとか愛しているとか、そんな簡単な言葉じゃ片付けられない。


「隼人の気持ちが全然わからない」


みなみはそう言うけど、知られるわけにはいかないんだ、俺のこんなギスギスした感情を。


分からないままでいいから、そのまま、俺のことを好きでいて。


俺だけをずっと見ていて。


初めて会った日と変わらないあの眩いばかりの笑顔で笑いかけてくれ。


そしたら、俺は、少し、少しだけ、自分が価値のある人間だと思えることができるんだ。


「隼人?」


寝ぼけながらも、キスに応えるみなみ。


「おはよう、みなみ」

「どう、したの?」


声が掠れている。


昨夜も、いっぱい無理をさせた。


「いや、ちょっとキスをしたくなって……」

「ふふ、何それ」


そう、そのまま笑っていて。


俺だけに―――




~END~



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