嘘吐なんて大嫌い
Prologue
最初の裏切りは幼稚園の頃。


大好きだったお母さんが事故で亡くなった。

信号無視をした車がお母さんの乗っていた車を思い切り――。


幼かった私は、「死」というものがどんなものなのかをよく分かっておらず、ただなんとなくだが、無性に悲しくて泣いていた。


二度目の裏切りは中学生の頃。


大親友の朱莉が遠くの学校に転校になった。

手紙を送るからね、うん待ってる。

その会話が朱莉との最後の会話だった。

電話から聞いた朱莉の死を、私は認めたくなくて何日も泣き続けた。


三度目の裏切りは高校一年生の頃。

幼い頃からずっと一緒だった裕貴は、お母さんが死んだときも、朱莉が死んだ時も一緒にいてくれた。

隣で「俺がずっとそばにいるよ」と、何度も私も励ましてくれた。
それで、告白されて、嬉しくて、結婚の約束までした、のに。

「ごめん、里緒奈。俺、本当は或奈の事が好きなんだ」

彼は私の双子の姉を選んだ。

「悪いな里緒奈。でも、裕貴は私を選んだんだ」

そう告げられたとき、或奈のお腹の中には既に新しい命が宿っていた。


このときは、もう、涙は出なかった。


どうしてなんだろう。


なんで、こんなんになっちゃったんだろう。


悪いのはダレ?

イケないことをしたのはダレ?

裏切ったのはダレ?


嘘つきは――――――――あと何人?


私はあと、


どれだけ裏切られればいいの?


もう、何も分からない。


嘘つきなんて、大っ嫌い。

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