中指斬残、捌断ち儀
小さいときに曾祖母から、口をすっぱくするまで教えられたことで、いかに恐ろしいかもトラウマになるほど植え付けられたためか、今になって明子の父親は曾祖母の言葉をそのまま遂行しようとしていた。
しかしながら、前述通りに、まだ実感がないのだ。
渉が一週間寝込んだが、それ以外で災いというものは起こっていない。こうして曾祖母の教えだと、自分なりの打開策を口にしてみたところで、貞夫の『馬鹿馬鹿しい』の言葉に『そのとおりだ』とも思ってしまう自分もいた。
矛盾し、相反する気持ち。
故に、貞夫の決心がそうならば、そのままでいいと――今までの話は、『何があっても知らないからな』と釘さすよりは、責任逃れの言葉に違いなかった。
『私は言ったからな』と言わんばかりに、明子の父親はここでやっと貞夫の顔を見た。