中指斬残、捌断ち儀
もう流血はしていないらしく血は外気に触れて固まろうとしているが、彼の右手奥の悲惨は変わらないだろう。
左右対称でなければならない顔半分のどちらかが傷つけば、人は自然と傷ついた側に注目しそうなものだけど――僕が気になっていたのは、無事な左側だった。
満身創痍の中で唯一無事な部分が異彩を放つと言えばそうだが、彼の左――左目は別格のような。
今まで気にしなかった包帯奥。あと僅かで見えそうだと、右目からの血を吸い赤くなった包帯が今にも血の重みで、ずり落ちそうな――