-Vermillion-
 WNO、リスト上の人間と番人。
 そう言えば枠訳されてた宮川武とかいう男…
 備考に[現役1967~]って書いてあったな。
 
 という事は、今の番人はそいつだ。そして次が……朱乃の目覚めが早い?
 何が目覚めた?異変があれば俺に言うはず……異変?
 今思えばあの蝶、何時からあんな物連れて歩くようになったんだっけ……

 そんな事をぼんやり考えていると、朱乃が帰って来た。もう六時か。
「ただいま…」
「おかえり朱乃。ちょっとそこ座って。話があるんだ。」
 
 俺の意味あり気な言葉に、朱乃は少し緊張しながら向いの席に着いた。
「あのな、大事な話なんだけど……」
「な、何…?」
「実は……」
「うん…」
「来週末、母さんが帰って来るよ。」
「え、本当…?良かった…!」

 朱乃の嬉しそうな表情を見て思った。
 これでいい。
 朱乃が知るのはここまででいいんだ。
―――


 ママが帰ってくる……
 私はまるで遠足前日の小学生の様に、楽しみで眠れなかった。
 
「美影、来週末ママが、帰って来るんだって…」
‐それは良かったですね、主様。
「話したい事が、沢山あるの…新しい友達も出来たし…」
‐それでなかなか寝付けないでおられるのですか?
「幼稚だと思う…?」
‐いえただ、可愛らしいな、と。

 美影は優しく言った。
 まるで愛おしくて仕方がないという様に――


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