-Vermillion-
―――
「真朱ったら、せっかちね。朱乃が出かけた瞬間に降りてきて。」
「聞かれたくない話が多くてね。」
「どこから話せばいいのかしら?」
「順番はどうでもいい。話してくれ。」
「じゃあまず、WNOと最近の事件の関係から……」

 WNOとは、World Neutral Organizationの略。
 直訳すると、世界中立組織。

 私達の仕事は、この世界とあの世界の中立を図る事。
 あの世界と言うと、
 死後の世界をイメージするかもしれないけれど、そうではない。

 上・中・下で分けた時、下界に値する世界の事。
 つまり、魔界と呼ばれる世界だ。

 魔人や魔物が住まう魔界とこの世界は、一つの扉で繋がっている。
 その門番を務めながら、魔界のパトロールを熟すのが、魔犬。
 言わば魔界の警察だ。

 ところが魔犬は手綱を捌く者がいないと、ただ血を求める魔物となる。
 その手綱を捌けるのは人間しかいない。
 魔界の者の言う事は聞かないからだ。

 WNOは両世界の均衡を保つ為に、
 魔犬の主人となる人間をランダムで決めている。

 その候補が中山、余山、赤峰の三つの市で生まれる、
 朱い瞳を持った人間達。
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