state of LOVE

 似た者カップル=バカップル

我が家から少し車を走らせると、実家に着く。

うちの実家からも、当然聖奈の実家からもそう離れた距離ではない。この「ちょうどいい距離」も相まって、大人達はあの家に二人で暮らすのを揃って賛成してくれた。

「着いたぞ。美緒は?」
「寝てます」
「そっか。あ、ちょうどメーシー帰ってきたんじゃね?」
「そうみたいですね」

見慣れたシルバーのスポーツカーがこちらに向かってくる。

因みに、うちの実家には二台分の駐車スペースがある。メーシーのスポーツカーと、マリーのクラッシックカー。夜になるとその二台でそこは埋まる。

けれど隣の空き地を駐車スペースとして借りているため、俺達やハルさん、ケイさんが全員車で押しかけても置き場所に困ることはなかった。

「おかえり」
「ごめん。待った?」
「いや、今着いたとこ」
「えっ…と。その子は?」

聖奈から譲り受けて俺の腕に収まっている美緒を認識した途端、メーシーの顔が暗がりでもわかるくらいに戸惑う。

「お前、話さなかったのか?」
「はい。忙しそうだったので」
「ごめんね。ちょっと難しいモデルさんの相手してたから、俺がすぐに切っちゃったんだ」

あのマリーの相手を四六時中しているメーシーに、眉根を寄せて「難しい」と言わせるモデル。いったいどれだけワガママなモデルだ…と驚いたのも束の間。ふと頭に浮かんだ二つの名を打ち消し、すっかり眠ってしまった美緒を抱え直した。

「取り敢えず中で話そう。こいつが風邪引くと厄介だから」
「あっ、うん。そうだね」

嘘を見抜いた俺に気付き、メーシーはバツが悪そうに苦笑いをした。
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