state of LOVE
「I like you.we are friend」
「thank you」

不器用な俺の言葉を、いつだってレベッカは深くまで理解して受け取ってくれる。

「私とマナは親友なの。アイリも仲間になる?」
「私も…なれるの?」
「傍に居れば、もっとマナのことがわかるよ。明日から一緒にバイトすればいい。私のアシスタントとして」
「えっ?そんなの勝手に決めちゃっていいの?」
「ダイジョーブ。マナはMEIJIとMARIの息子だから」

俺を見下ろしながら笑うレベッカの頬を両手で挟み、ゆっくりと引き寄せる。そして、唇を重ねる数センチ前でふっと笑った。

「そうゆうとこで俺の息子としての立場を使おうとするなよ」
「せっかく使えるもの持ってるんだから、使わなきゃ損よ。いつかマナはMEIJIを超える。その時は、私達がJAGのトップアーティストよ」

満面の笑みを見せるレベッカにふーっとため息を吐くと、あははっと遠慮の欠片も無い笑い声が降ってきた。

「佐野君って、難しいけど面白い」
「んー?」
「私も仲間に入れてもらおうかな」
「んじゃ、一肌脱ぎますか。MEIJIとMARIの息子が」
「よろしくお願いします」

ちーちゃんを思わせる屈託のない笑顔に、頭と胸の奥に詰まっていたモヤモヤがスッと抜き取られたような気がして。ギュッと手を握ると、同じ強さで握り返してくれる。それがまた、嬉しくて。

「せっかくだからモデルの中から彼氏探せば?協力するよ」
「えー。そんなのいいよ」
「コイツにも言ったんだけど、年上キラーだからなかなか難しくて」
「そうなの?」
「Yes.私はMEIJIにしか興味ないわ」
「また言ってるよ。フラれたくせに」
「え?え?どうゆうこと?」
「また明日ゆっくり話すよ。今日はここまで」
「えー!気になるじゃん!」

だったら…とシートを起こし、手を伸ばしてくしゃりとレベッカの髪を乱した。

「コイツ、今日泊めてやってくんない?」
「えっ?」
「今日さ、コイツの世話になってる家にうちのMEIJI先生がお邪魔してて。帰るに帰れないんだよね」
「そうなの?だったらうちに泊まって!一人暮らしだから私もその方が嬉しい!」
「だってさ」

ニヤリと笑う俺に、レベッカは一度グッと眉根を寄せてふっと笑った。

「この策略家め」
「んー?何のことだろな」

ツンッと鼻先を弾くと、ベッと舌を出したレベッカがギュッと俺の頬を抓った。

「じゃあ一晩お邪魔するとしましょうか」
「どうぞどうぞ!」
「二人で朝まで語り合えよ」
「わー!楽しみ!一緒のベッドで寝ようね!」

はしゃぐ愛里は、とても無邪気で。まるでプリンを与えられたちーちゃんだな。と、自然と頬が緩んだ。
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