state of LOVE
「上手くいってるみたいだね」
「まぁな」
「で、その子は?」
「隣の家のガキ」
「何でそんな大事そうに抱えてるの?」
「セナが妬いて面白いから」
「ホント…ドSだよな。俺が言うのも何だけど」

そうだ。あんたにだけは言われたくない。大きく頷く俺の背に、二階から下りてきた聖奈がペタリと張り付いた。

「いつまで抱っこしてるんですか?」
「ん?」
「寝てるんだからソファに下ろせばいいのに」
「ヤダよ。せっかく新しい女手に入れたのに」

俺の言葉に目を見開く聖奈を鼻で笑い、キッチンから去る。パタパタと追いかけて来る足音は、明らかに怒気を含んでいて。それが面白くて美緒を抱いたままソファに腰掛けて笑いを噛み殺していると、後ろからギュッと首を掴まれた。

「殺す気?」
「セナだけのマナでいられないなら死んでください」
「いいけど…お前もすぐに後追えよ?独りで棺桶はゴメンだぞ」
「勿論です」

顔だけを振り向かせた状態で頷くと、ゆっくりと手が離された。そして、代わりに腕が回される。

「ダメですよ、浮気は」
「わかってますよ」
「絶対?」
「絶対」

頑張って躾けただけはあるな。と、降ってくる唇を受けながら思う。そんなバカップル丸出しの俺達を「ご飯だよー」と軽く制し、志保さんの手料理を並べ終えた父が笑った。
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