state of LOVE
「うちの娘は頑固やから、俺らが何言うたってお前からは離れんと思う」
「でしょうね」
「せやから、何も心配要らん」
「は?」
「お前も全力でぶつかれ。別にカッコ悪くても「それなら要りません」とは言わん奴や。それは、父親である俺が保証する」
「胸張って言えるほど「父親」やってたんですか」
「気分や、気分」
シレッとツッコんだ俺に、ハルさんは一度器用に片眉をクイッと上げて、それからそっと瞼を下した。
「初めて会うたんは、28の時やった。何も考えんと連れて帰って、一緒に暮らして、好きやって認めた途端に引き離されて。色んな事があって、怒りもしたし泣かされもした。それでも俺は千彩に惚れてたから結婚して、すぐに聖奈ができた。妊娠中も出産の時も、なんぼ寿命が縮まったかわからんくらい心配して、不安で。それでも、傍で笑ってくれる千彩を見たら、そんなもん全部吹っ飛ぶんや。世界で一番幸せなんちゃうかって思える」
自分語りの後は、今度は幸せ語りか。と、ふぅっとわざとらしく息を吐いて顔を上げた時、ハルさんの頬に涙が筋を作っているのが見えた。
「聖奈は、俺と千彩が大事に守ってきた幸せの一部なんやからな」
「ハル・・・さん」
「俺らの幸せをお前に分けたる。せやから、それを壊さんように二人で守れ。お前一人で頑張らんでええから」
「何か…父親っぽいですね」
「やろ?こう見えて二児の父やからな」
「ですね」
大介さんに向き合った時とはまた違う、緩くも優しくもあるこの感覚。波はあれど、大きくて深い海。それは、聖奈に対して感じる思いと同じだった。
「ハルさん」
「ん?」
「俺、幸せです」
「そっか。なら良かったわ」
ニカッと八重歯を覗かせて笑うハルさんは、涙を拭きながらもとても幸せそうで。俺もこんな父親になりたい。と、ケイさんがハルさんに憧れ続ける理由を漸く心底理解した。
「でしょうね」
「せやから、何も心配要らん」
「は?」
「お前も全力でぶつかれ。別にカッコ悪くても「それなら要りません」とは言わん奴や。それは、父親である俺が保証する」
「胸張って言えるほど「父親」やってたんですか」
「気分や、気分」
シレッとツッコんだ俺に、ハルさんは一度器用に片眉をクイッと上げて、それからそっと瞼を下した。
「初めて会うたんは、28の時やった。何も考えんと連れて帰って、一緒に暮らして、好きやって認めた途端に引き離されて。色んな事があって、怒りもしたし泣かされもした。それでも俺は千彩に惚れてたから結婚して、すぐに聖奈ができた。妊娠中も出産の時も、なんぼ寿命が縮まったかわからんくらい心配して、不安で。それでも、傍で笑ってくれる千彩を見たら、そんなもん全部吹っ飛ぶんや。世界で一番幸せなんちゃうかって思える」
自分語りの後は、今度は幸せ語りか。と、ふぅっとわざとらしく息を吐いて顔を上げた時、ハルさんの頬に涙が筋を作っているのが見えた。
「聖奈は、俺と千彩が大事に守ってきた幸せの一部なんやからな」
「ハル・・・さん」
「俺らの幸せをお前に分けたる。せやから、それを壊さんように二人で守れ。お前一人で頑張らんでええから」
「何か…父親っぽいですね」
「やろ?こう見えて二児の父やからな」
「ですね」
大介さんに向き合った時とはまた違う、緩くも優しくもあるこの感覚。波はあれど、大きくて深い海。それは、聖奈に対して感じる思いと同じだった。
「ハルさん」
「ん?」
「俺、幸せです」
「そっか。なら良かったわ」
ニカッと八重歯を覗かせて笑うハルさんは、涙を拭きながらもとても幸せそうで。俺もこんな父親になりたい。と、ケイさんがハルさんに憧れ続ける理由を漸く心底理解した。