state of LOVE
見えるのは、オフホワイトやピンクが大半を占めているだろう淡い色合いと、レースやフリルといったふわふわ。

何と目に優しい洋服だ。と、正反対の色を身に纏った聖奈の頭の上でポンッと手を弾ませた。

「お姫様は、闇色になりました。ってか」
「どうゆう意味ですか?」
「ん?そのままだよ」
「余計に意味がわかりません」

視線は合わさずとも、二人の父親は察してくれているはずだ。

一応言っておくけれど、俺は最後まで渋ったのだ。二人とは趣味が正反対だ。だからやめておいた方がいい、と。それを押し切ったのはケイさんであり、俺ではない。

ケイさんがそうしなければ、今でもこんな服を着てお姫様気分でいられただろうに…と、首を傾げる聖奈の肩を引き寄せて二人の父親の向かいに腰を下ろした。

「ね?だから言ったでしょ?」
「ええやん。今のセナも可愛いで。セナはいつでもマイエンジェルやからなー」

いつでもどこからでも聖奈の「可愛いポイント」を見つけ出せるケイさんは、今日も今日とて親バカで。スタイリストよりもカメラマン向きの、ある意味有能な人物なのではないかと思う。

「お前はほんま…それくらい嫁のことも可愛がったれよ」
「えー。あいつはもう可愛い年ちゃうやん」
「お前なぁ…」

ガックリと肩を落とすハルさんと、聖奈を見つめながら目を輝かせるケイさん。学生時代からの親友だと言うだけあって実にいいコンビなのだけれど、この二人の関係も俺の中では疑問だらけだ。

「ハルさんとケイさんって、学生時代からそんななんっすか?」
「ん?せやで。面倒かけられっぱなしの30年や」
「そんなことないやろー!ちーちゃんのこともセナの子育ても、俺は家庭も顧みず色々協力したで!」
「ちょっとは顧みろよ、家庭を」

コイツには何を言っても無駄だ。と、ハルさんの心の声が聞こえたような気がした。さぞかし苦労の多い30年だったことだろう。哀れだとしか言い様がない。

「離婚されても知らんぞ」
「何っ!?りんとそんな話してんの!?」
「いやいや。してへんけどやな。慌てるくらいなら家に帰れよ」
「俺が今家帰ったら、晴人一人になるで?」
「それがどないしてん。俺はお前と違って家事は出来るんやぞ。だいたいうちの家おっても、お前はピーチクパーチク喋っとるだけやないか」
「でも、俺おらんかったら寂しいやろ?ちーちゃんおらんかったら泣くくせに」
「泣くかっ!」

ベシンッと頭を叩かれても、ケイさんは嬉しそうに笑っていて。そんな二人のやり取りを見て「相変わらず仲良しね」と言いながら、美緒を連れて来た志保さんはメーシーをお供に従えてキッチンに立った。
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