state of LOVE
「俺達は同じ生き物じゃない」
「え?」
「俺はメーシーやハルさんと違ってお前に甘くないから、結婚しても上手くいくかわかんねーよ?」
「何を今更…」

サラリと長い黒髪を梳く俺を、聖奈は不安げな瞳で見上げる。不協和音をBGMに、俺は言葉を続けた。

「俺達がケンカした時やお互いを嫌になりかけた時、子供がいればまた好きになれるだろ?」
「それは…」
「俺達二人のどっちが欠けてもダメなんだよ。二人いるから子供が作れるし、二人いるから家族が守れる。それって凄いことじゃね?」

ちょっとクサイか?と笑った俺に、聖奈はふっと表情を緩ませた。

「少し」
「おいおい。そんなことないですよ。マナ、愛してます。だろ?」
「デレてばかりいられませんよ。女の子は大変なんです」
「あーそうかよ」

再び唇を重ね、BGMを止めるべく後部座席に手を伸ばす。やっとか!と言いたげな美緒の顔は、泣き過ぎて真っ赤になっていた。

「よーし。よく泣いたな」
「だー!」
「よしよし。こっからは静かにな?病院だから」
「だー」

通じたのか通じていないのかわからないけれど、幸い泣き疲れた美緒はペタリと俺にひっ付いて落ち着いてくれた。それに不満げに頬を膨らませるも、聖奈の表情はさっきまでの不機嫌とはまた違った。

「仕方ない人ですね、マナは」
「おいおい」
「良かったですね、美緒ちゃん。セナに感謝してくださいよ?」
「だー」

聖奈の小さな手に頭を撫でられ、美緒はとても満足げで。落ち着いたことだし…と車を降り、闇色を浄化してもらうべくちーちゃんの元へと足を急がせた。
< 67 / 158 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop