state of LOVE
「うわー…俺には「いいっすか?」の一言やったのに」
「俺なんか「いただいてます」やで!」
「ケイ坊は他人だろ」
「俺だってセナの父親や!」
「あー、はいはい。ケンカすんなって、お前ら」

せっかくひとが真面目に話をしていると言うのに、本当にこの人達は…

まぁ、話をぶった切るちーちゃんがいなかっただけまだマシか。と、そう諦める他、道は無いのだろうか。


「ハルさん」


茶化す三人と、もうため息が出る寸前の俺。そんな緩んだ空気を一気に引き締めたのが、大介さんの低くて太い声だった。

「あっ、え?はい」
「ハルさん、ちー坊の時のこと覚えてますか?」
「千彩の時?」
「こうやって皆さんと話したことありましたやろ?」
「あぁ…ありましたね」

遠い過去を懐かしむような大介さんの目と、照れくさそうに頭を掻くハルさん。何を言い出すつもりだろう。と、二人の間で視線を行き来させながら思う。

「あの時、言うてましたやろ?俺は千彩に惚れとるんですって。ちゃんと責任持ちます言うて」
「あぁ…ねぇ。そんなこと言ってましたね、若かりし日は」
「この子は…それを言わへんかった」
「あー…まだ学生ですしね」
「ちゃんと、自分を知っとる子や。さすが佐野さんの息子さん」
「ありがとうございます。うちの息子はそこのcrazyなカメラマンと違って、ちゃんと身の程を弁えてるみたいで安心しました」

口元に手を当てながらにっこりと笑うメーシーに待ったをかけたのは、言うまでもなくハルさんで。グッとメーシーに顔を近付け、眉根を寄せて睨みを利かせる。
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