恋の始まりっていつですか?

突然の出来事



「ちょ、音羽?!は、離してーや」

じたばたと抵抗するけど、びくともせん。
音羽、いつの間にこんなに力が強なってん?
なんか…怖い。

怖くて下を向いた。

「…悪い。こんなことするつもりとちゃってん。せやから、そんな震えんな。悪かった」

音羽の拘束が緩まった。
とたん、涙が溢れ、頬を伝った。

「さ、小夜?!わ、悪い!俺が悪かった!せやから泣くな!な?」

音羽があわてて謝りだした。

「ふっ…うっ。せやかて、怖かってんもん。バカー」

音羽の膝に乗ったまま抱きつく。怖かったけど、これが一番落ち着く。

「ば、ばかて。せめてアホにしてーや」

音羽はまだあわあわしている。

「知らんわ!ボケ!」

「悪かったって。せやで泣き止んでーな」

しゅんっとなる音羽。
何故かその姿が酷く愛しく思えた。

―音羽side―

…泣かせてもたーーーーー!!!!!

せやかて、しゃーないやん!!!
いきなり部屋入ってきたかと思ったらあいつ風呂上がりやねんもん!!
健全男子高生なら誰だってな?!

つか、俺に泣かされとってなんで俺の膝の上で泣くねん!
なんで俺に抱きつくねん!

いや、他の奴とか絶対いややけどな。

そーいや、昔から小夜が泣いた時は俺がこやって慰めてたな…。
小夜の父親が亡くなった時も…。

そーいや、あんときと今とでキス、2回目や。


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