推理はラテを飲みながら#00-全ケータイ小説読者への挑戦状-【完】


呆れ顔を浮かべる匠をよそに、宗は手帳を閉じながら全員を見渡した。


「事件の流れは、恐らくこうだ。お嬢ちゃんは、何かの理由で大階段のところで犯人に腹を刺された。そして、踊り場で倒れた姿に、犯人は死んだと思った」


皆が静まる中で、テレビの音だけがBGMのように流れている。



「そして犯人は考えた。油を使えば、すっ転んで包丁が偶然刺さった事故に見せかけられないか、とな。だから慌ててオイルポットを取りに行った。だが、その間にお嬢ちゃんはどっこい生きてて、メモを握り込んだ。奥さんが言ったように、時間稼ぎとして反対の手もな」



「やっぱり、ワタシの言う通り……」



「当然、処分を試みたろう。だが、命懸けの握り拳は開かない。そのとき、奥さんがトイレの故障で偶然外に出てきた。だから、犯人はダイイングメッセージをそのままに、逃げるしかなかった――。ざっと、これが真相だろうな」

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