未来へ
今にも泣きそうな顔で浩人は続ける。

「オレがバイトばっかしてるのは親に金を返すため。そんなとき、あの女が、私が紹介した女の子とデートすればお金がもらえるって話を持ってきたんだ。オレも早く金が返せると思ってその話に乗った。要は息子に売春させて金を儲けてたわけだ。」

浩人はイライラと吸い終わったタバコを灰皿に押しつけた。

「でも、柚菜とつきあうようになってからはやめたんだ。それがあの女には気に入らなかったんだろ。」

話を聞き終えた私は浩人がすごく遠くにいる人のように感じた。

自分とは違うどこか遠くの世界に住んでいる人。

「だまっててゴメン。」
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