朝子
 五日後、篤郎は死んだ。

 台所には庭から摘んで来た毒草があったが、そのせいではない。

 心臓の発作を起こして、勝手に死んだのだ。

 私が気が付いた時には、既に事切れていた。

 それからのことは、よく覚えていない。

 とにかく、陽子は消え、篤郎は死に、朝子はとうに亡霊となっている。


 私だけがひとり、取り残された。


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