ピュアらぶストーリー。
─翔太side─
今日は生憎の雨で、オレたち男子は体育館でハンドボールになった。
いつもは雨を恨むのに、今日はむしろ嬉しかった。なぜなら実結のクラスと合同で体育やからや。
体育館で先生の話を聞きながら実結を探していると、不意にこっちを向いた実結と目があった。
なんかわたわたしてて小動物みたいで、「が ん ば れ!」って口パクで伝えながら手を振ると、顔を赤くしながら振りかえしてくれた。
あー、幸せや。先生に集中しろって怒られたけどなんも気にならん。こんな幸せがずっと続けばいいのに。
ウォーミングアップをしていきなりミニゲームをするみたいで、チームはクラスで分けられた。先発はオレと稲瀬が入ることになって、試合開始早々点を入れると、女子の方からきゃー、って悲鳴にも似た声が聞こえた。恥ずかし。
その後稲瀬も続いて点を入れ、オレの時よりも大きい悲鳴が聞こえてきた。
ちら、と稲瀬の方を向くと、女子達に向かって手を振ってた。ようやるわ。
その後もオレ達の活躍により相手との点差は開いていき、留めに一発決めてやろうと、ボールを受け取り意気込んだ時だった。
「翔太、実結ちゃん見てるで」
思いもよらない稲瀬の一言に変に力んでしまい、ゴールとは程遠い所目掛けて思いっきり投げてしまった。…かっこ悪。
後ろで稲瀬が腹抱えて笑ってるのがなによりむかつく。
その後はリラックスして今まで通りプレイできて、ちょっとは挽回できたかな、って思う。
試合も終盤に差し掛かり、女子のギャラリーも減ってきて勝ちも確信に変わった時だった。
「っ、実結!?」
溝上さんの声が体育館全体に響いて、バッと声のほうを見てみると、実結が倒れとった。
何か考えるより体が先に動いて、気づけば実結を抱えて保健室に向かって走っとった。