★ 理想のコイビト ★
「どう思う?」



「どう?って…」



「イケメン?」



「うーん…」



鏡に映るのは見慣れた自分の顔。



色白…というより、どちらかと言えば色黒の肌に、軽く耳に掛かるぐらいの黒髪。



タレ目がちな奥二重に薄めの唇。



悪くはない、とは思うが、イケメン…ではないと思う。



告白されたことはあるが、モテてる方…ではないと思う。



「イケメン…イケメン…」



「はぁー…」



「イケ…あっ!」



真剣に鏡を見る俺を横目に溜め息をついた恭一は、突然、俺から手鏡を取り上げると、チッとうざったそうに舌打ちした。

< 7 / 86 >

この作品をシェア

pagetop