鎖~kusari~
自分が教師として沢山苦労してきたからこそ、娘には違う仕事について欲しいらしい。
教師という仕事が大変なのは分かっている。
けど私は将来何かの役に立つかもしれないから、教員免許を取ろうと半ば強引に教職の授業を取った。

母は何度もこの話を持ち掛けてきて、話している内に段々とイライラしてきて、おまけに実習先が決まらないイライラも加算され、思いっきり電話を切ってしまったっけ……。

冷静になれば、母に悪いことしたなぁ。


そんな事を思い出していたら、私の携帯が鳴った。
携帯を開きディスプレイを見る。

「教職研究室……」

教職の授業の助手さんからの電話だった。

「はい、雲雀です」

「あ、おはようございます。教職研究の新井です。実習先の事でお話があるので、お昼休み教職研究室まで来て下さい」

とのことだった。





その日のお昼休み、教職研究室に私は行った。

応接室のような部屋に私は通されて、先生と助手さんが私の向かいの席に座った。

「で、お話って……」

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