俺様無口な王子様ッ
部屋の中は、真っ暗だった。

「…わ、暗っ!……電気電気!!」


あたしは、手探りで電気のスイッチを探す。

2、3歩歩いたところで…。





とんっ…――。


何かに、当たった。

柔らかい…いいにおいが、ふわっと香った。






「…!?」


ど、泥棒さんなのか!?

こんなにいいにおいの泥棒さん、いるのか!?


だ、だけど!


あたしの頭の中にはもう、ある二文字しか…無い。


「…た、逮捕するぅっ!!」

「…!?」

暗闇で、泥棒さんが動いたのが見えた。




どうしよう!?

逃げられちゃう…。


あ!!!そうだ!

あたしは、泥棒さんのみぞおちらしきあたりに、


おもいっきり力を込めた、拳を送った。




…つもりだった。



「…キャッ…!?」


突然、体の身動きが取れなくなった。

後ろで、少し荒い吐息が聞こえる。





あ…れ??

あたし今…抱きしめられてる!?

「…ホント、あぶねー…お前。二度も俺を殺す気?」


一度だけ、聞いたことがある声が…あたしの頭上で聞こえる。




また、ふわっと…いいにおいがした。








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