シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「ほ、褒めって…玲くん!!?」
僕は芹霞の耳に囁いた。
「"お試し"の意味―――
忘れたとは言わせないよ?
またよろしくね、僕の"彼女"?」
微笑むと、芹霞の顔が…ぼんっと音をたてるように、突如真っ赤になった。
まるで煌のようだ。
その間に僕は店長に指示をする。
「じゃあ試着させてください。その19万のワンピースと…」
芹霞は涙目でぶんぶんと頭を横に振って。
「似合わない。着るまでもない!!! 恥かく前に帰「あれとそれ、ああ…あそこにある…そう、それも」
悪いけれど、僕の目は確かだと思う。
僕は君に似合うものしか、着せないよ?
芹霞は、両手に山となった服を抱えた店員に引かれて、試着室に入る。
「玲くん…あたし"ドナドナ"の気分…」
弱弱しい声が漏れてきた時、僕の頭に…あの哀切なメロディーが流れてきた。
「ぎゃっ、21万のコート!!? 何よ…この値段は!!! あたしのコートなんて、1万円もしないのを、3割引で買ったのに!!!」
芹霞の驚嘆の声が、曲を飾る。
まるで屠殺寸前の子牛の泣き声のようだ。
君に贈った金緑石(アレキサンドライト)、そのコートの・・・優に倍以上してたんだけれど。
芹霞の元から無くなってショックだったのは、値段の問題ではないから…下手に口に出して、芹霞に分割払いを強行されても困るだけ。
それでも。
そのおかげで桜が蘇ったというし、その事実があったおかげで櫂も切り抜けられた…はずなんだけれど。
――紫堂櫂を愛してる!!!
ずきん。
笑顔の芹霞の中には櫂はいない。
消したのは僕。
そして僕は、罪という名の元に…結婚という降って湧いた災難を利用して、こうして"お出かけ"しようとしてる。
櫂の苦しみをそっちのけで、考えるのは自分のことばかり。