シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

理屈ではなく、本能で。


あたしはそう思ってしまった。


あたしはこの熱さを知っている。

あたしはこの色香を知っている。

あたしはこの匂いを知っている。


あたしは…

誰を彼女に重ねているの?


――…は、いなかった。


誰を重ねて、愛しいとまで思ってしまっているの?



――君が愛したのは…



ああ、この声は…。



――紫堂玲だ。


玲くん、なの?




ねえ、何で彼女はあたしにキスをしているの?


会った瞬間、身体に電気が走った。


近寄りがたい程の、圧倒的な美貌。


憂いの含んだ切れ長の目は、久涅の持つものと酷似しているというのに、あたしは彼女の漆黒の双眸にぞくぞくとした興奮を感じたんだ。


長身の彼女は、手足が長く。

長いスカートの横は裂け、そこからちらりと見える長い足がまたセクシーで、そして颯爽と感じて格好いいと思ってしまった。


漆黒色に染められた彼女は、揺らがない強い意志をその目に湛え、それが凛とした輝きを放ち…まるで王者のような貫禄を感じさせた。


格好いい。

まるでお姉ちゃんや紫茉ちゃんみたいだ。


ぶれない格好よさがそこにはある。

あたしが憧れて止まない、性別を超えた強さがそこにはある。


そう、それは同性としての憧憬。


それなのに…



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