シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「あ……ふっ…り…んっ…!!」


舌があたしの舌を追いかける。


捕まったら最後、絡み取られる。

まるで蜘蛛の巣にかかった蝶のように。


凜ちゃんが怖い。

あたしを逃がさない。


まるで男のような、強い力であたしを固定し、どんな抵抗もものともしない。

女の子だから、あたしは噛み付くことはしたくなくて。


そんなあたしの躊躇が、彼女の舌の動きを性急にさせていく。


まるで怒っているかのような荒々しさ。


何故か…涙が零れた。



――…はいなかった。


そこには感情は伴わず。


――…は存在していなかった。


何だろう。



玲くんが…




――君が好きなのは、



玲くんの声があたしの頭を侵蝕して。



――紫堂玲だ。



漆黒色と白色が、頭の中で衝突した。


その衝動に頭が…割れそうに痛い。



――あたしは、



痛いんだ。


やだ。


何!!!?



――……を愛してる!!!



やめて、お願いだから。


やめて!!!



「――ん、凜ッッ!!!


オレの声を聞け、この馬鹿ッッ!!!


がっつくなッッッ!!!!」



憤ったような久遠の声に我に返った。

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