シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
煌は気づいていないのか。
周涅は攻撃をよけながら、私の動向を窺っている。
完全なる捕食者の眼差し。
まるで私の動き1つで、
反撃に出ると脅されているかのように。
私は――
周涅の目から、彼の"選択"を受け取った。
"朱貴と紫茉を置いていくのなら、
お前達は見逃してやる"
そして薄く笑ったんだ。
まるで、私達が出す答えなど1つしかないというように。
それが…私の心に火をつけた。
ならば――
やってやろうじゃないか。
完全に馬鹿にしている"弱者"の藻掻きを、足掻きを、甘んじたことを後悔させてやろうじゃないか!!!
私は動く。
裸の朱貴に煌の服をかけ、そして裂岩糸を構える。
私の身体では2人を担いでもいい標的にされるだけ。
だからこその裂岩糸で、投げる。
投げて聖に引き渡す。
2人の身体に糸が絡んだ時――
「見捨てちゃうの、
オレンジワンチャンの窮地に~」
いつか聞いた耳障りな軽い口調と共に、煌の呻き声が聞こえた。