シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 
正直――

私は期待した。



多分、それは煌も同じ筈。


未知数の皇城翠の新たな式神は、

吼えて終わるだけではないと。


必ず何かしでかしてくれるはずだと。



「ふ…。炎ね…」



炎の猛威。

囲まれた周涅は動じることなく。



今の内、朱貴と七瀬紫茉を…


多分、そういうことなんだろう。



私が裂岩糸を構えた時、


「破談にしたいんだろう?」


周涅の声と共に、


炎を放つ2匹の犬は…消滅した。


跡形もなく。


え?


炎吐いただけで――


退場!!!?



もう…式神はいなかった。



お仕舞いらしい。



「な!!!」


震えたのは、私だけではないだろう。


それは期待を裏切られた憤怒でもなく、炎すら消滅させる力の大きさに恐怖したからでもなく、変えられた口調に対する不安などでもなく…ただ純粋にその言葉の内容に対して。


そうだ。

私達は、玲様の縁談を壊すのが第一目的だったはずで。



「朱貴と紫茉を残せば、

取り下げてやってもいい」


くつくつ、くつくつ。


"やってもいい"


それは断定でも、約束でもなく。



「しかもこの男もお前も逃がしてやる。

この出血大サービス、他にはないぞ?」



くつくつ、くつくつ。


「非情と名高いお前は…

合理主義の筈だったよな?

下手な感情論に流されなかった筈だが?

いいのか?


生き方を否定して。

感情に流され、よりよい判断を誤るのは…お前の嫌う"弱者"がすることだ」


私は…唇を噛んだ。


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