シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 


ぎゅっと…俺は芹霞の握った手に力を込める。


「凜ちゃん…大丈夫だよ。

久遠が、凜ちゃんを守ってくれるからね」


友情でもない。

ましてや同性愛の趣味などない。

それも久遠相手だと思ったら反吐が出る。


俺が守りたいのはお前だ。


「凜ちゃん以上に――

久遠は強いからね。

格好良いからね!!」


お前を守るのは――

久遠ではなく、俺なんだ。


じりと心が焦げる。


ああ、駄目だ。

暴走してしまう。



だけど今は――

そんな時ではない。


それはこの場面が語っている。


ここを抜けたら。

ここを抜けて屋敷に無事に戻れたら。


俺はこの女装をやめる。


元々久涅対策の為だ。


久涅が屋敷に居なければ、

俺が女の格好をしている必要はない。


まず…

きちんとした姿をしてから、

誤謬の…絡まった糸を解していこう。


本当は直ぐにでも、

この服を切り裂いてでも、

お前を紫堂櫂として抱きしめたいのだけれど。


今は――

判断を誤ってはいけない。


俺の想いよりも…芹霞を守らねば。

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