シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
気配に気づいた元天使達が、襲いかかってくる。
剥き出しの本能。
感じたのは――
戦慄よりも既視感(デジャブ)。
かつて何百以上もの…人外の存在となった"生ける屍"を相手にしてきた。
今更、何十もの屍が、食らい尽そうと襲っても動じない。
しかし…
体術でやりきるには辛い。
まだ…体力が上手く回復出来ない。
それは力を封じているからであり、結界さえ作れれば体力は回復出来る。
だが――
「凜、力は使うな!!!
嫌な予感がする!!!」
その度に久遠に制される。
微妙に変わった久遠の言葉。
久涅に正体がばれるから使うなと、そんな言い方をしていたのではなかったか。
「あの塔が…多分、力を吸い取る。
外壁は…トラペゾヘドロンだ」
俺の疑問に対する答えを久遠は口にした。
「あの塔に…無駄に力を注ぐな。
あれは…かつてのものよりも危ない」
よく見れば、"深淵(ビュトス)"の塔よりもシンプルな造り。
上に昇る螺旋階段はなく、上に突起がついているだけ。
何故、かつての"深淵(ビュトス)"に似たように塔が出現したのか。
そしてあの奇妙な外壁がなぜ此処でも使用されていたのか。
ああ――
来襲の屍の数は減じることがない。
クラウン王子も鏡も…
浄化の力は役に立たないらしい。
幻ではない故か。
それとも…
鏡の力も久遠の力をも超える、"幻"が放たれているのか。
だとしたら、お手上げた。
何を真実の拠り所としていいのか判らない。