シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
芹霞の小声が聞こえていたらしい久遠は、否定するのも疲れたような顔をして、完全無視に態度を切り換えたようだ。
「目の前の光景が真実というのなら」
久遠は俺と旭を見た。
「真実、"あいつら"が蘇ったということ。骨すら残らず…燃えさかる炎で、荼毘(だび)に付したのに」
腑に落ちないのは俺も同じ。
だが、芹霞だけが見えるらしい鏡には、今の光景と同一なものが映っているというのなら、それを信じるしかないのだろう。
俺達の目が当てにならないのは、旭の一件で明らかになった所。
「心理作戦、のような気もするな…」
久遠がぼやく。
「この光景が、司狼が戦いを願ったから…とは言い切れなくなった。真実も幻も同じだというのなら、幻術使いの出番はない。
しかし…共通項を見出すとすれば、かつての"約束の地(カナン)"を見知る奴が、オレ達に揺さぶりをかけている。
オレ達…厳密に言えば、"約束の地(カナン)"の生き残り組だ。
油断させて命を取る気でいるのか…」
真実が幻か、幻が真実か。
真実と幻を融合できるのは何者なのか。
何故そこまで"約束の地(カナン)"に死者を出したいのか。
久涅。
何考えているんだ!!?
「時間稼ぎ…か?」
そう久遠が呟いた時だった。
屋敷の方角で、何かの光が見えた気がして。
何かが…起きているのか!!!?
「行くぞ!!!」
久遠のかけ声と共に、俺達は走った。